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農園古穂の里で日々自然栽培にチャレンジ。土壌と土壌生成理論の探求。
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古穂の里の鶏たちは生涯飼育。ポリシーとして鶏たちに幸せに暮らしてもらって卵を産んでもらう。食、住、福利厚生あらゆる面で。鶏たちは控えめに見てものびのびとして恐れを知らない。ここに暮らして安全で安心しきっている。だから彼女たちの産んでくれた卵を『幸せ卵』と名付けている。この庭は傷ついた鶏たちや一般に廃鶏と呼ばれる年老いた鶏たちのサンクチュアリである。1羽も捨てたり殺したりはしない。これは私達の鶏たちへの約束である。

卵を生み終わった鶏たちは大きな役目を終えたかのように日々ゆったりと過ごしている。ひだまりの中で羽を広げてくつろぐ姿を見るのは楽しい。越し方を振り返って誇らしげだ。たくさんの卵を産み、私達の命を支えてくれた。ボディガードの2頭の犬まで養ったのだ。天にも地にも恥じることがない、と。私たちはいつもここに命を全うしつつあるものの誇りを見る。

毎日地面をつついたり、腐葉土を足で蹴ったりしながら自分で食べ物を探しながら日暮れになっても小屋に帰らない。もう互いの顔も判別できないほど暗くなってからようやくよちよちと小屋に向かう。遊び疲れたのだ。こうして生きて暮らしているのが楽しくて仕方がないように見える。

そんなある日、突然止まり木に登れなくなる。何度か試みるがどうしても登れない。仕方なくその日は床に休む。翌朝明るくなるともうじっとしていられない、飛び起きて出入り口に向かう。何も変わらないはずだが、足が重い。餌を突くことも土を蹴ることもできる。でも思うようにからだが・・・。

グズグズすることで仲間に突かれる。突かれても思うように動けない。また突かれる。この有様を見て素早く保護しなければ致命傷になることもある。保護すると仲間たちから隔離されそれだけでもがっくりときてしまう場合も多い。できるだけ群れの中で暮らしていけるようにまず群れに返して様子を見る。

さらに次の日仲間の攻撃は激しくなり、歩みもままならないその個体は放置すると致命傷を負うのが明らかだ。そこでネットで囲ったネットご屋に隔離する。周りを仲間たちが通るのが見える、一人隔離された、という緊張は和らぐ。ひだまりの中にやすみ、少しばかり元気を得る。腰が立たなかったのに、自ら立ち上がって餌を突くこともできた。やがてまた伏す。伏せながらも水を含み、餌を突く。早く仲間のところに帰ろう、止まり木に登ろう、と思っているのかもしれない。

こうしてさらに1日、なお寒風は吹いていたが早春の日差しが老いた個体を優しく包んだ。
上はその日の夕刻の写真である。彼女の世に棲む最期の日となった。死を見ること帰するがごとし、と形容すべき荘厳な最期であった。どの個体もこうして私たちに看取られてゆく。

長い間ほんとうにありがとう。どうか末永くしあわせに。


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